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リーマンショックを経験した人事が、「withコロナ」のいま考えていること(グッドパッチ・小山さん)

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ありとあらゆる企業活動に甚大な影響が生じています。もちろん、人事業務も例外ではありません。

この非常時において、人事担当者がするべきこと、求められる心構えとは一体なんなのか...... たとえ誰もが納得する答えはなくとも、リーマンショックや東日本大震災などの経済危機の際に人事をされていた方々の経験を通じて、そのヒントを探ることはできるかもしれません。

そこで今回、様々な会社で人事を経験し、現在は株式会社グッドパッチで人事に関わっている小山様にお話を伺いました。

株式会社グッドパッチ 小山様のプロフィール

富山県出身。松屋フーズで店長、ディップでの営業を経て2008年以降から人事にキャリアチェンジ。2016年10月にグッドパッチに入社。入社後はキャリア採用をメインに、新卒採用やその他人事関連の業務の一部を担当。

人事デビューと同時に体験したリーマンショック

ー 人事キャリアを通じて、リーマンショックや東日本大震災だけでなく、さまざまな業界を揺るがす出来事を経験されてきた小山さんですが、今日はその「有事の経験値」をもとに人事としての心構えをお聞きしていきたいと思います。

グッドパッチ・小山様(以下、「小山」):よろしくお願いします。最初に断っておきたいのは、不況は企業にとっては向かい風にもなるし、追い風にもなることを認識しておくことが大切です。中にはリーマンショックをバネにして大きく業績を伸ばした企業も有ります。

実際に、私がとあるリテール企業に人事として入社して間もない頃にリーマンショックが起きましたが、業績は増収・増益を続けていました。現在もその企業の勢いは衰えることなく成長し続けています。今思うと、生活に必要なインフラ企業だったので、景気に左右されにくいこともあったでしょうね。

当時の社内でもネガティブな雰囲気は一切なく、むしろ「これを追い風にしよう」という雰囲気だったように記憶しています。なので、どれだけ社会や経済にネガティブなインパクトを残す出来事であったとしても、人事として実際に見ている景色は所属する企業によって大きく異なるところがあると思います。

ー 当時の採用をめぐる環境についてはどのように記憶していますか?

小山:本当に大荒れでした。今、勢いのある会社の中にも「え、あの会社がそんな状況な時もあったんですか!?」と言う企業が多く有ります。リストラや、内定取り消しなどの暗いニュースばかりでしたね。

ただ一方では、当時在籍していた企業の採用にとってはこれもまた追い風でした。採用マーケットの中では販売・サービス系は採用に苦戦する業界なんですが、リーマンショックの影響で他業界も含めの多くの求人がストップしたこともあり、採用を積極的に行っていた自社には優秀な人がどんどん集まってくれました。

説明会はほぼ満席状態でしたし、エージェント様からのご紹介も非常に増え、時にはエージェントフィーを下げてでも紹介したいというエージェント様も有りました。ですので、採用人数は大きく増えても、採用単価は大きく減りました。以前の2/3程度になったように記憶しています。

ー 言葉を選ばず言えば、採用の「かきいれ時」であったと。

小山:はい。年間で数百名をリクルーター1名で採用を進めていたので、数日に一度の説明会をこなしつつ、多い時は毎日10人ほど面接をしていました。で、今思えばよくやっていたな......と思います(笑)。でもその結果、普段なら会えなかったような優秀な人材を採ることができましたね。

ただ、こんな状況だった企業は少なく、周りを見渡すととてつもなく大変な状況だったように思います。リストラなどはそれほど珍しいことでは有りませんでしたし、父が在籍していた会社もそのような状況でした。リーマンショックの影響による不況がたくさんの人の運命を狂わせたことに間違いはありません。例えば、都内の大学に進学したくても、親の事情で実家から通える範囲でしか進学出来ないケースが多く有りました。本人からするととても辛い状況だったように思います。

ただ、それから数年後地方の学生の採用が活発になった時期があったのですが、これはリーマンショックの影響で地方に残った学生がターゲットになったようです。進学が思うように行かなかったものの、就職というタイミングで希望を叶えた学生がいたのも印象的でした。この記事をご覧になった方の中にもそう言った方がいらっしゃるのでは無いかと思います。

無理に採用しすぎた会社は必ずその後で良くない影響がでてくる

ー 小山さんはリーマンショックとコロナショックの影響の違いはどういったところにあると考えていますか?

小山:リーマンショックは経済や消費への影響は非常に大きかったのですが、今回の新型コロナウィルスの時とは違い、外出などの一般生活への影響はほとんど有りませんでした。しかし、今回は外出などの一般生活へも影響しているという意味でのインパクトでは今回のコロナ禍の方が影響は大きいと感じています。

また、リーマンショックの影響が表面化したのはしばらく経ってからだったりもしたので、楽観視はあまりしていません。このスタンスには、私がこれまでにリーマンショック以外にも企業にマイナスになる出来事を複数回体験したことが影響しているかもしれません。

ー 組織作りにも大きな影響がでると思いますが、小山さんはコロナ禍における採用の動向をどのように考えていますか?

小山:これまでは景気も良い状況が続き、新卒・中途共に採用市場が活発でしたが、厚生労働省の発表によれば3月の有効求人倍率は実に3年半振りに1.4倍を下回る1.39倍となっており、4月はより厳しくなるという見通しが出ています。これを読まれている方の中にも体感的にそう感じる方もいらっしゃるでしょう。

個人的には、景況感が良いからと言ってこれまで無理な採用をしてきた会社は、今後は必ず良くない影響がでてくると思っています。リーマンショックの前も第二新卒ブームがまだ続いていたことで未経験者を大量に採用していたのですが、リーマンショックの影響でリストラをしている企業も見てきました。今回もそれに近しい状況が起こるのではないかと予想しています。

ただ、逆に小売・販売などの求人数は大きく増加している傾向もあるようで、私が過去に体験したことに近い状況も起っているようです。

ー グッドパッチさんはどのように対応していきますか?

小山:私たちは現状を受け入れながらも粛々とやっていきます。グッドパッチはこれまでも、とにかく数を追うのではなく、ビジョン・ミッションへの共感を重要視して採用活動を行ってきましたが、非常時だからといってこの採用方針を変えるつもりはまったくありません。

自分としてもリーマンショックや、それ以外でも向かい風の中で採用活動を行った体験があり、採用市場が大きく荒れた後の顛末を見てきましたしね。自分たちのペースで採用活動をすることが何より大切だと思っています。

人事が気を配るべきは社員のメンタルケア

ー 新型コロナウイルスの影響をうけて、人事として一番力を入れているのはどういったことですか?

小山:ストレスに対するケアに注力しようと考えています。メンタルの不調は一般的にはネガティブなときに引き起こされやすいと思っている人が多いかもしれませんが、出世や結婚と言った一見するとポジティブな変化でも起きます。

例えばお子様がいらっしゃるご家庭の方は、在宅勤務になることで家族との時間が増えることになります。家族との時間が増えることはポジティブに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、まだ小さなお子様がいらっしゃるご家庭の場合は保育園や幼稚園も休園になっていることが多く、仕事と並行しながらお子様の世話をしなければならないため、かえってストレスを感じまう可能性もあるのです。

これまでは出来ていたことが出来なくなったり、やっていなかったことをするのは思った以上に負荷が掛かる。これは私自身もリモートワークになって感じていることでもあるので、社員に対するストレスケアに関するアクションは継続していきたいです。メンタルの不調は定量化しづらい上に、本人ですらもすぐに気づけないことも多いですしね。

ー グッドパッチさんでは具体的にはどうやってケアしていくのですか?

小山:一定規模の企業には義務化されているストレスチェックもありますが、基本は年1回実施とスパンが長いので日常的な部分から判断していくしか有りません。確実にとは言い切れませんがいくつか傾向があるため、管理職向けのノウハウや、メンバーにはケア方法などのTipsを共有しています。対応を間違ってしまうとストレスの長期化や退職に繋がってしまうこともあるため、まずは正しい知識を持ってもらうことが重要と思っての対応です。

そのほか、会社側でも在宅勤務への手当や制度面でのサポートを積極的に実施をしていまして、この辺りのスピード感は本当に早いと思いました。やはり不安に感じているメンバーも多かったので、この対応はメンバーに安心感を与えたのではないでしょうか。

ー 社員のメンタル面の変化に会社はどうやって気づけばいいのでしょうか?

小山:専門家ではない人がやれることは限られていますが、一つ挙げるとすると睡眠時間の変化でしょうか。睡眠は疲労回復に効果的ですが、睡眠時間が少ないと疲労回復がされず全体的な抵抗力が落ちます。それによって体調崩したり、普段は何ともないことにでもイライラしたりするなどの影響が出てきてしまう。メンバーがきちんと寝れているかどうかを確認するだけでもわかることもあるわけです。

リモートでない場合は居眠りが多い、欠伸が多いなども参考情報になるのですが、リモート期間は致し方ない部分ですね。あまりこう言った部分は注目されないのですが、自分自身も過去に苦しんだ経験もあるので積極的にこういった際のフォローを出来ればと思っています。今回は誰もが体験したことがない状況ですから、誰も答えを持っていません。だからこそ、色々予測を立てながら進める必要があると思うのです。

ー 非常時こそ管理部門の腕が問われると。

小山:そう思います。平常時からの努力の積み重ねの有無がモロに出てしまう、管理部門の地力が問われる局面です。弊社の管理部門のメンバーの対応の速さがなければ、スムーズに全社がリモートワークに移行出来なかったのではないかと思います。地道なことの繰り返しで培ってきたものがあったこその今回の対応です。ちなみにうちの管理部門の大半はWantedly経由で採用した人ばかりでして、ある意味御社のおかげで乗り越えられた部分もありますね(笑)。

ー ありがとうございます。もし、メンタル面も含めたケアが必要そうなメンバーに気がついた場合、どのように対応を判断すればいいでしょうか?

小山:我々は専門家ではないので安易に判断してはいけません。休んでもらうのも一つの方法ですが、本人の意志を尊重した上でサポートをするのがが良いと思っています。EAPの活用や産業医の先生との面談など、サポートの仕方は一つではありません。

また、マネージャーは自分だけで抱え込まないことも大切です。こう言った時だからこそ周囲と連携しながら進めるべきだと思います。

オンライン面談は、対面とはやり方を変えるのも重要。

ー 人事が考えるべきことが増えているなか、グッドパッチさんは採用を止めていません。オンライン採用にはスムーズに移行できていますか。

小山:はい。オンラインに移行した後でも、新卒・中途関係なく面談や面接を続けていますし、直近でも複数名が内定承諾をされました。加えて、新卒採用の説明会はオンライン化しましたが、会場の広さを気にしなくてもよくなったため、一度での集客数が大きく変わるなどのメリットを感じています。

こういった状況ではありますが、採用する側の適応力の速さが問われている局面だと思います。学生のみなさんもその点を注目している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ー オンラインで面談や面接をする際の注意点はありますか?

小山:対面と同じやり方では難しい部分がありますね。オンラインでは空気感や温度感が伝わりづらいことや、ネット環境に影響される可能性もあるため、対面と同じように進めるには難しい部分があります。私の場合はそう言ったことを踏まえて、質問の数は減らすものの、一つ一つの深堀りに時間を使うことを意識しています。

こちら側のアプローチも、画面越しに感情面までは伝わりづらくなっていることを織り込んで話す必要があります。テレビなどで出演者のリアクションが大げさだなと思うかもしれませんが、テレビの画面上ではあれぐらい動きを加えないと伝わらないからなんですよ。対面であれば距離感も近いので、身振り手振りが伝わりやすいですし、双方目があったりするので、お互いに聞いている雰囲気が伝わると思いますが、オンラインではその点は対面に劣るところがあると思います

ですので、オンラインでのコミュニケーションではいつもより大げさな身振り手振りを行うことを意識しています。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが慣れれば苦になりませんよ。イメージとしては、みなさんも一度は観たことのあるテレビショッピングや、オンライン授業の講師の方々達ですかね。

実際に小山さんの動きを見ると感情が伝わってきます

オンラインだからと言い訳を作らずに、ちゃんとやり方を合わせていかなくてはいけないということですね。

小山:はい。ただ、基本的なところは変わらないですよ。私たちがちゃんと求職者と向き合い正直であること、学歴や職歴だけではなく、それらをベースに自社の未来にどれだけ貢献していただけるかを見極めることですね。オンラインでの選考はあくまで手段なので、重要な点を忘れてしまっては意味がないですから。

最後に、小山さんは今回のコロナ禍をどのように乗り越えていこうとお考えですか?

小山:現状を受け止めながら、その中でどう順応していくかを考えていくしかないと思います。必要以上に悲観的になる必要はないと思いますが、しばらく続くかもしれない可能性を意識しつつ最悪のプランを考えて行動して、後々「あの時は考えすぎだったね」となるくらいがちょうどよいのではないでしょうか。

この状況下において人事が考えるべきことは本当にたくさんありますから、いまは自力が試されている時期だと思っています。社会や経済がネガティブな事態に直面しているからこそ、目の前の課題にちゃんと向き合っていきたいですね。

<了>

結びにかえて

小山さんのお話にもあった通り、「非常時を“考える時間”に変える」ことが今すべてのビジネスパーソンに求められています。

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